专利摘要:
(a)バイオディーゼル燃料成分を少なくとも部分的に含有する中間蒸留物ベース燃料、及び(b)100℃での粘度が8mm2/s以上であるフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分を含有する中間蒸留物燃料組成物。なし
公开号:JP2011508000A
申请号:JP2010538718
申请日:2008-12-17
公开日:2011-03-10
发明作者:フォルカー・クラウス・ヌル
申请人:シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイShell Internationale Research Maatschappij Besloten Vennootshap;
IPC主号:C10L1-08
专利说明:

[0001] 本発明は、中間蒸留物燃料組成物、その製造方法及び用途、並びに該燃料組成物に特定種の燃料成分を使用する方法(use)に関する。]
背景技術

[0002] 揮発性の低いブレンド成分(即ち、燃料分子又は更に極性の分子よりも重質)を含む燃料の蒸発により燃料成分の不均一な分布が生じ、これにより低揮発性成分は非蒸発残留物が豊富になりやすい。燃焼機関では、燃焼自体で燃料材料の殆どは転化するが、燃焼室又は壁に少量の残留液が未燃焼のまま残る。次に、この残留液は潤滑エンジン油により洗浄除去され、油中に蓄積される。ピストンリングが摩耗したり損傷すると、更に燃料がピストンリングを通り越して潤滑エンジン油中に直接、押し込まれる可能性があるので、この燃料希釈の影響は高まる。]
[0003] 植物油又は植物油誘導体(例えば脂肪酸エステル、特に脂肪酸メチルエステル(FAME))、或いは酸、ケトン又はエステルのような他の酸素化物のようないわゆる“バイオディーゼル”燃料成分は、通常、鉱油誘導燃料に通常存在する炭化水素よりも揮発性が低い。このような更新可能の燃料成分、特にFAMEを指令(mandatory)により存在させると、この種の燃料成分の潤滑エンジン油中での存在量の増加につながる。しかし、これは潤滑エンジン油の一層急速な崩壊をもたらす。]
[0004] エンジン潤滑油における燃料成分の富化の効果としては、燃料の希釈による粘度低下;スラッジ及びワニスの形成;全塩基価の低下により示される、潤滑基油でのアルカリ度保留の不足;更なる硝酸の形成による油の分解を示す、更に急速な全酸価の増大;及びバイオディーゼル成分含有潤滑基油の溶媒和が高いため、ベアリングから銅や鉛のような特定の金属が溶解(leach)すること;が含まれる。その他の効果は、現代のディーゼルエンジンに適用される排気ガス過給器の存在に関連する。ここでは、バイオディーゼル成分は過給器のベアリングで起こる高温下で炭化し、結局、ベアリング及び/又はシールを損傷する。]
[0005] このような損傷は、通常適用される長い油排出間隔により更に増進される。最悪の場合、過剰のスラッジ形成によるオイルフィルターのゲル化又は詰まりのため、エンジン潤滑油の破滅的な欠陥さえ起こるかも知れない。その結果、油排出間隔は、エンジンの損傷を生じやすい潤滑油の汚染を回避するため、短縮しなければならない。]
発明が解決しようとする課題

[0006] したがって、以上の問題を解消する燃料組成物を得ることが非常に望ましい。更に、潤滑エンジン油の排出間隔を維持又は拡大することが非常に望ましい。]
課題を解決するための手段

[0007] これは、エンジン潤滑油を富化する燃料添加剤として高粘度(即ち、特定値を超える粘度)の重質成分を採用し、これによりエンジン潤滑油に効率的に添加することにより、意外にも達成された。]
[0008] 本発明によれば、(a)植物油、水和植物油又は植物油誘導体(例えば脂肪酸エステル、特に脂肪酸メチルエステル(FAME))、或いは酸、ケトン又はエステルのような他の酸素化物のようなバイオディーゼル燃料成分を少なくとも部分的に含有する中間蒸留物ベース燃料、及び(b)100℃での粘度が8mm2/s以上であるフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分を含有する中間蒸留物燃料組成物が提供される。]
[0009] 更に酸素化脂肪酸メチルエステル又は植物油、或いは酸、ケトン又はエステルのような他の酸素化物のようなバイオディーゼル燃料を成分を含有する中間蒸留物燃料に、100℃での粘度が8mm2/s以上であるフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分を含有させると、燃料組成物によるエンジン操作の潤滑特性を向上できることが見出された。]
[0010] フィッシャー・トロプシュ縮合法は、一酸化炭素及び水素を、適切な触媒の存在下、通常、昇温(例えば125〜300℃、好ましくは175〜250℃)及び/又は昇圧(例えば5〜100バール、好ましくは12〜50バール)で長鎖の、通常、パラフィン性の炭化水素に転化する反応である。一般に、フィッシャー・トロプシュ法を用いて液体燃料成分に転化されるガスは、天然ガス(メタン)、LPG(例えばプロパン又はブタン)、エタンのような“縮合物”合成ガス(一酸化炭素/水素)及び石炭、バイオマス及びその他の炭化水素から誘導したガス状生成物を含有できる。]
[0011] フィッシャー・トロプシュ法は、LPG、ナフサ、ケロシン及びガス油フラクションを含む或る範囲の炭化水素燃料を製造するのに使用できる。これらのうち、ガス油は、通常、石油誘導ガス油とブレンドして、自動車用ディーゼル燃料組成物として使用されてきた。重質フラクションは、水素化処理及び減圧蒸留に続いて、異なる蒸留特性及び粘度を有し、潤滑基油原料として有用な一連の基油を生成できる。]
[0012] フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分は、重質残留基油が好ましく、高粘度になるため、バイオディーゼル成分で汚染された基油原料に供給できる。
このようなフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分は、Shell Bintuluから得られる粘度が8mm2/s以上(100℃で)のエキストラ重質基油残留成分である。]
[0013] EP−A−1366134に開示されるような蒸留物フィッシャー・トロプシュ誘導基油は同様な効果を示すが、本来、揮発度が高く、また粘度が低いため、燃料中に大量に存在しなければならない。]
[0014] 減圧塔から潤滑基油留分を回収後に残存するいわゆる残留“塔底”生成物は、通常、低分子量生成物に転化するため、水素化分解ユニットに再循環され、潤滑基油自体として使用するには不適当であると考えられる場合が多い。]
[0015] US−A−7053254ではフィッシャー・トロプシュ塔底物は蒸留物基油の潤滑特性の改良、特に流動点の低下に使用しているように、このような塔底生成物は、蒸留物基油に添加剤として使用することも提案されている。]
[0016] しかし、適切に処理したフィッシャー・トロプシュ誘導基油、好ましくは残留又は塔底誘導基油(以下、“フィッシャー・トロプシュ誘導重質基油”という)は、更にバイオディーゼル成分を含有する中間蒸留物燃料に使用すると、実際に潤滑油組成物の特性を改良できることが今回、意外にも見出された。]
[0017] 本発明に関連して、フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性重質基油は、好適にはフィッシャー・トロプシュ“塔底”(即ち、高沸点)生成物から直接又は間接的に1つ以上の下流処理工程に続いて誘導された基油である。フィッシャー・トロプシュ塔底生成物は、精留塔、通常、減圧塔の底部からフィッシャー・トロプシュ誘導原料流の精留に続いて回収された炭化水素生成物である。]
[0018] 更に一般的な用語では、用語“フィッシャー・トロプシュ誘導”は、材料がフィッシャー・トロプシュ縮合法の合成生成物であるか、或いは合成生成物から誘導することを意味する。 “非フィッシャー・トロプシュ誘導”は、これに従って解釈してよい。したがって、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料又は燃料成分は、添加した水素を除く実質部分がフィッシャー・トロプシュ縮合法から直接又は間接的に誘導された炭化水素流である。]
[0019] 炭化水素生成物はフィッシャー・トロプシュ反応から直接得られるか、或いは例えばフィッシャー・トロプシュ合成生成物又は水素化処理したフィッシャー・トロプシュ合成生成物の精留により間接的に得られる。水素化処理は、沸点範囲を調節するための水素化分解及び/又は分岐パラフィンの割合を増大することにより、常温流れ特性を改良できる水素化異性化を含むことができる。フィッシャー・トロプシュ合成生成物の特性を改質するため、重合、アルキル化、蒸留、分解−脱カルボキシル化、異性化及び水素化改質のような他の後合成処理を用いてよい。]
[0020] パラフィン性炭化水素のフィッシャー・トロプシュ合成用の一般的な触媒は、触媒活性成分として周期表第VIII族金属、特にルテニウム、鉄、コバルト又はニッケルを含有する。好適なこの種の触媒は、例えばEP−A−0583836(第3〜4頁)に記載されている。]
[0021] フィッシャー・トロプシュの基本法の一例は、第5回Synfuels Worldwide Symposium,Washington DC、1985年11月での論文:van der Burgt等,“The Shell Middle Distillate Synthesis Process(シェル中間蒸留物合成法)”(Shell International Petroleum Company Ltd.,London,UKの同表題の1989年11月刊行物も参照)に記載されたSMDS(Shell Middle Distillate Synthesis(シェル中間蒸留物合成)である。この方法(時には、Shell(商標)“Gas−To−Liquid(ガス・ツウ・リキッド)”又は“GTL”とも言う)は、天然ガス(主としてメタン)誘導合成ガスを重質長鎖炭化水素(パラフィン)蝋に転化することにより、中間蒸留物範囲の生成物を生成する。転化後、炭化水素蝋は、引き続き水素化転化し、精留して、ディーゼル燃料組成物に使用できるガス油のような液体輸送燃料を製造できる。現在、接触転化工程に固定床を利用する改訂SMDS法が、マレーシアのBintuluで使用され、その生成物は、市販の自動車燃料中に石油誘導ガス油とブレンドされている。]
[0022] フィッシャー・トロプシュ法により、フィッシャー・トロプシュ誘導燃料又は燃料成分は、硫黄及び窒素を本質的に含有しないか、又は検出不能の水準で含む。これらヘテロ原子を含む化合物は、フィッシャー・トロプシュ触媒の毒として作用する傾向があるので、合成ガス原料から除去する。これにより本発明の燃料組成物では、触媒性能に対する効果の点で他の利点が得られる。]
[0023] 更に、通常操作されるフィッシャー・トロプシュ法は、芳香族成分を生成しないか又は殆ど生成しない。フィッシャー・トロプシュ誘導油の芳香族成分は、ASTMD−4629により好適に測定でき、分子(原子とは対照的に)基準で通常、1重量%未満、好ましくは0.5%重量%未満、更に好ましくは0.1%重量%未満である。]
[0024] フィッシャー・トロプシュ誘導成分(b)の比較的高い粘度及び固有の潤滑性は、燃料組成物の特性及び性能も改良でき、特に追加の上方リングパック(upper ring pack)を潤滑すると共に、燃料経済性を高める。こうして、本発明のディーゼル燃料組成物にこのような成分を含有させると、多くの利益が得られる。]
[0025] 本発明の燃料組成物に使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性重質基油成分(b)は、95重量%以上のパラフィン分子を含有する重質炭化水素生成物である。この重質基油成分(b)はフィッシャー・トロプシュ蝋から製造され、飽和パラフィン性炭化水素を98重量%より多く含有する。これらパラフィン性炭化水素分子の好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上、なお更に好ましくは95重量%以上、最も好ましくは98重量%以上はイソパラフィン性である。飽和パラフィン性炭化水素の85重量%以上は非環式炭化水素であることが好ましい。ナフテン性化合物(パラフィン性環式炭化水素)は、好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%未満の量で存在する。]
[0026] 成分(b)は好適には、連続数の炭素原子を有する炭化水素分子を含有し、したがって、連続系列の連続的イソパラフィン、即ち、炭素原子数がn、n+1、n+2、n+3及びn+4であるイソパラフィンを含有する。この系列は、蝋原料の異性化に続いて、重質基油が誘導するフィッシャー・トロプシュ炭化水素合成反応の結果である。或いは成分(b)として、同様なポリα−オレフィン重合体が使用できる。しかし、このような重合体は、高価で、また生分解性が低いので、余り好ましくない。]
[0027] 成分(b)は、使用時の温度及び圧力条件で一般に液体であるが、一般に周囲条件下、即ち、25℃、101 kPa(1気圧)では必ずしも液体ではない。]
[0028] 成分(b)の100℃での動粘度(VK 100)は、ASTMD−445で測定して、8mm2/s(8cSt)以上でなければならない。このVK 100は、好ましくは10mm2/s(10cSt)以上、更に好ましくは10mm2/s(10cSt)以上、更に好ましくは13mm2/s(13cSt)以上、なお更に好ましくは15mm2/s(15cSt)以上、再び更に好ましくは17mm2/s(17cSt)以上、再びなお更に好ましくは20mm2/s(20cSt)以上である。本明細書に記載した動粘度はASTM D−445に従って測定し、一方、粘度指数(VI)はASTM D−2270を用いて測定した。]
[0029] 沸点範囲が535℃を超えるサンプルの沸点範囲分布はASTMD−6352に従って測定し、一方、低沸点材料についての沸点範囲分布はASTM D−2887に従って測定した。
成分(b)の初期沸点は、好ましくは400℃以上である。この初期沸点は、更に好ましくは450℃以上、なお更に好ましくは480℃以上である。]
[0030] ここで言う初期沸点値は呼称値であり、ガスクロマトグラフ疑似蒸留(GCD)で得られたT5カット点(沸点)のことである。]
[0031] 慣用の石油誘導炭化水素及びフィッシャー・トロプシュ誘導炭化水素は、広い沸点範囲を有する各種分子量成分の混合物を含むので、この開示は10重量%回収点及び90重量%回収点のそれぞれの沸点範囲に言及する。10重量%回収点とは、そのカット(留分)内に存在する炭化水素の10重量%が大気圧で気化し、したがって回収可能である温度を言う。同様に、90重量%回収点とは、存在する炭化水素の90重量%が大気圧で気化する温度を言う。沸点範囲分布に言及する場合、本明細書では10重量%回収沸点と90重量%回収点間の沸点範囲を言う。本明細書で言う分子量は、ASTMD−2503に従って測定したものである。]
[0032] 本発明の成分(b)は、連続数の炭素原子を有する分子を含み、好ましくはC30+炭化水素分子を95重量%以上含むことが好ましい。成分(b)はC35+炭化水素分子を75重量%以上含むことが更に好ましい。]
[0033] “曇り点”は、ASTMD−5773に従って測定して、曇りが発現し始める温度を言う。成分(b)の曇り点は、通常、+49℃〜−60℃の範囲である。成分(b)の曇り点は、好ましくは+30℃〜−55℃、更に好ましくは+10℃〜−50℃の範囲である。フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性重質基油成分(b)の若干の曇り点は、原料及び脱蝋条件により他の特性に悪影響を及ぼすことなく、周囲温度より高くできることが見出された。]
[0034] 成分(b)の粘度指数は、好ましくは120〜160である。成分(b)は硫黄及び窒素含有化合物を含まないか、極微量しか含まないことが好ましい。前述のように、これは不純物を殆ど含有しない合成ガスを用いるフィッシャー・トロプシュ反応から誘導された生成物にとっては普通のことである。]
[0035] 成分(b)は炭化水素化合物の形態で硫黄、窒素及び金属を好ましくは50ppmw(100万重量部当たり部)未満、更に好ましくは20ppmw未満、なお更に好ましくは10ppmw未満含有する。成分(b)は、例えば測定にX線又は‘Antek’窒素試験を用いて、現在、硫黄に対しては5ppmw、窒素に対しては1ppmwという検出限界未満の量で硫黄及び窒素を含有する。しかし、硫黄は、硫化水素化分解/水素化脱蝋及び/又は硫化接触脱蝋触媒を使用して導入してよい。]
[0036] 本発明で使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性重質基油成分(b)は、フィッシャー・トロプシュ合成反応並びに引続く水素化分解及び脱蝋工程から残留フラクションとして分離することが好ましい。]
[0037] 更に好ましくは、このフラクションは、水素化異性化工程の生成物に未だ存在する最高分子量化合物を含有する蒸留残油である。前記フラクションの10重量%回収沸点は、本発明の特定の実施態様では、好ましくは370℃を超え、更に好ましくは400℃を超え、最も好ましくは500℃を超える。]
[0038] 成分(b)は、異なる炭素種の含有量により更に特徴化できる。更に詳しくは、成分(b)は、イソプロピル炭素原子の割合(%)と比べたε−メチレン炭素原子の割合(%)、即ち、最近接の末端炭素及び最近接の分岐(更にCH2>4という)から取出した(removed)4つ以上の炭素原子である繰返しメチレン炭素の割合(%)により特徴化できる。以下の説明では、基油について全体として測定した、ε−メチレン炭素原子の割合とイソプロピル炭素原子(即ち、イソプロピル分岐中の炭素原子)の割合との比は、ε:イソプロピル比という。]
[0039] US−A−7053254に開示された異性化フィッシャー・トロプシュ塔底生成物は、高厳密性の脱蝋で得られるフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分のε:イソプロピル比が8.2以下である点で該フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分とは異なることが見出された。US−A−7053254に開示された基油原料のブレンドによる測定可能な流動点低下効果は、基油中のε:イソプロピル比が8.2以上の場合にのみ達成できることが見出された。基油原料中での流動点低下効果を望まない場合、低流動点を有するフィッシャー・トロプシュ誘導重質基油成分(b)とε:イソプロピル比が8.2以下である多量の化合物とのブレンドは、曇り点で表されるように、一層均質になり易いので、このような成分及び化合物の添加は有利かも知れない。]
[0040] 異性化フィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物の動粘度、流動点及び流動点低下効果間には相関が現れることが見出された。塔底生成物についての所定の原料組成物及び沸点範囲(脱蝋後の蒸留物基油及びガス油フラクションからの低い方のカットポイントにより定義される)では、流動点及び得られる粘度は、脱蝋処理の厳密性に繋がっている。流動点低下効果は、US−A−7053254に開示されるように、流動点が−28℃を超え、平均分子量が約600〜約1100で、かつ分子中のアルキル分岐の平均分岐度が炭素原子数100当たり約6.5〜約10のである異性化フィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物に顕著であることが見出された。]
[0041] しかし、本発明で使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導重質基油成分(b)は、流動点が+6℃未満、或いは場合によってはそれ以下であってもよく、好適には比較的厳密な脱蝋を行ったものでよい。更に好ましくは、分子中のアルキル分岐の平均分岐度は、US−A−7053254に開示された方法に従って測定して、炭素原子数100当たり10を超える。このような成分は、流動点低下効果が全くないか、少ししかないので、成分(a)及び(b)を含有するブレンドの流動点は、これら2成分の流動点の間にある。]
[0042] “流動点”とは、慎重に管理された条件下で基油が流動し始める温度のことである。ここで言う流動点はASTMD−97−93で測定される。]
[0043] 場合によっては、本発明で使用される重質基油成分(b)の流動点は−8℃以下、好ましくは−10、−15、−20、−25、−28、更には−30、−35、−40又は−45℃以下であってよい。したがって、比較的マイルドな脱蝋を行って約−6℃の流動点を得た基油に比べて、−30℃以下、例えば−30〜−45℃の流動点が得られるように、比較的厳密な(即ち高温接触)脱蝋を行った種類の基油であってよい。後者の種類は流動点降下剤として使用することが知られているが、前者の種類は一般にこの目的には使用されていないので、本発明により得られた結果は一層意外である。]
[0044] フィッシャー・トロプシュ誘導基油ブレンド成分の分岐特性及び炭素組成は、13C−NMR、蒸気圧浸透圧法(VP0)及びフィールドイオン化質量分析(FIMS)を用いて油サンプルを分析すれば、便利に測定できる。]
[0045] 重質基油成分(b)の15℃での密度は、EN ISO 12 185の標準試験法に従って測定して、好適には約700〜1100kg/m3、好ましくは約837〜841kg/m3である。
最も広い意味では本発明は、重質基油成分がフィッシャー・トロプシュ誘導であってもフィッシャー・トロプシュ誘導でなくても、前記特性の1つ以上を有するパラフィン性重質基油成分の使用法(use)を包含する。]
[0046] 本発明の燃料組成物は、2種以上のフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性重質器油成分を含有してよい。]
[0047] 本発明に使用されるパラフィン性重質基油を製造するには、好適にはフィッシャー・トロプシュ誘導塔底生成物に対し異性化プロセスを行う。このプロセスはn−パラフィンをイソパラフィンに転化し、こうして炭化水素分子中の分岐度を増大すると共に、常温流れ特性を向上する。使用した触媒及び異性化条件により、比較的高度に分岐した末端領域を有する長鎖炭化水素分子が得られる。このような分子は比較的良好な常温流れ性能を示す傾向がある。]
[0048] この異性化塔底生成物は、更に下流プロセス、例えば水素化分解、水素化処理及び/又は水素化仕上げを受けてよい。この塔底生成物に対して、流動点を更に降下させるのに役立つ、溶剤又は更に好ましくは後述するような接触脱蝋による脱蝋工程を行うことが好ましい。しかし、脱蝋後でさえ、フィッシャー・トロプシュ誘導重質基油は、非常に高い分子量のため、脱蝋工程では完全に除去できずに、依然として残留蝋曇りを有する。この理由から、このような重質基油は、中間蒸留物基油とブレンドした際、CFPPにおいて、予想された増大とは対照的に、低下が起こり得るとは意外である。]
[0049] 一般に、本発明の組成物に使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性重質基油は、いずれの好適なフィッシャー・トロプシュ法によっても製造できる。しかし、パラフィン性重質基油成分(b)は、フィッシャー・トロプシュ誘導蝋又は蝋状ラフィネート原料から以下の工程で得られる重質塔底蒸留物フラクションが好ましい。
(a)フィッシャー・トロプシュ誘導原料中の化合物の20重量%以上が炭素原子数30以上の化合物である該フィッシャー・トロプシュ誘導原料を水素化分解/水素化異性化する工程、
(b)工程(a)の生成物を1種以上の中間蒸留物フラクションと、沸点が540℃を超える化合物を10重量%以上含有する残留重質フラクションとに分離する工程、
(c)該残留フラクションに対し接触流動点降下工程を行う工程、及び
(d)工程(c)の流出流から残留重質フラクションとしてフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性重質基油成分を単離する工程。]
[0050] 異性化及び精留の他、フィッシャー・トロプシュ誘導生成物フラクションは、水素化分解、水素化処理及び/又は水素化仕上げのような他の各種操作を受けてよい。]
[0051] 工程(a)の原料はフィッシャー・トロプシュ誘導生成物である。このフィッシャー・トロプシュ誘導生成物の初期沸点は400℃まででよいが、好ましくは200℃未満である。好ましくは、フィッシャー・トロプシュ合成生成物を、前記水素化異性化工程で使用する前に、このフィッシャー・トロプシュ合成生成物から炭素原子数4以下のいずれかの化合物及びその範囲の沸点を有するいずれかの化合物は分離される。好適なフィッシャー・トロプシュ法の例はWO−A−99/34917及びAU−A−698391に記載されている。これらに開示された方法は前述のようなフィッシャー・トロプシュ生成物を生成する。]
[0052] フィッシャー・トロプシュ生成物は、周知の方法、例えばいわゆるSasol法、シェル中間蒸留物法又はエクソンモービル“AGC−21”法により得られる。重質フィッシャー・トロプシュ誘導基油の製造に好適な方法は、WO−A−2004/033607、US−A−7053254、EP−A−1366134、EP−A−1382639、EP−A−1516038、EP−A−1534801、WO−A−2004/003113及びWO−A−2005/063941に記載されている。]
[0053] 本発明の中間蒸留物燃料組成物は、例えばナフサ、ケロシン又はディーゼル燃料組成物、通常はケロシン又はディーゼル燃料組成物のいずれかであってよい。この燃料組成物は、工業用ガス油、自動車用ディーゼル燃料、蒸留物船舶用燃料又は航空機燃料のようなケロシン燃料であってよい。特にディーゼル燃料組成物であってよい。更に好ましくは、この燃料組成物は、内燃機関に使用するのに好適であり、及び/又は適応し、及び/又は意図され、なお更に好ましくはこの燃料組成物は自動車燃料組成物であり、なお更に好ましくは自動車ディーゼル(圧縮点火)エンジンに使用するのに好適である、及び/又は適応する、及び/又は意図されるディーゼル燃料組成物である。]
[0054] 燃料組成物に含まれる中間蒸留物ベース燃料は、一般にいかなる好適な液体炭化水素中間蒸留物燃料油であってもよい。これは有機的又は合成的に誘導してよい。この燃料油は好適にはディーゼルベース燃料、例えば石油誘導又はフィッシャー・トロプシュ誘導ガス油(好ましくは前者)である。
中間蒸留物ベース燃料の沸点は、一般に通常の中間蒸留物範囲内125又は150〜400又は550℃である。]
[0055] ディーゼルベース燃料の沸点は、等級及び用途により、一般に通常のディーゼル範囲内170〜370℃である。ディーゼルベース燃料は、密度(IP 365)が15℃で通常、0.75〜1.0g/cm3、好ましくは0.8〜0.86g/cm3、測定セタン価(ASTMD−613)35〜80、更に好ましくは40〜75又は70である。初期沸点は好適には150〜230℃の範囲、最終沸点は290〜400℃の範囲である。40℃での動粘度(ASTM D−445)は、好適には1.5〜4.5mm2/s(1.5〜4.5cSt)の範囲であってよい。しかし、ブレンド全体の特性は個々の成分の特性とは異なってもよいことが多いので、本発明のディーゼル燃料組成物は前記範囲外の特性を有する燃料成分を含有してよい。]
[0056] 石油誘導ガス油は、原油源を精製及び任意に(水素化)処理して得られる。石油誘導ガス油は、このような製油所プロセスから得られる単独のガス油流であっても或いは製油所プロセスにおいて異なる処理過程を経由して得られる数種のガス油のブレンドであってもよい。このようなガス油フラクションの例は、直留ガス油、減圧ガス油、熱分解法で得られるようなガス油、流動接触分解ユニットで得られるような軽質及び重質サイクル油、水素化分解ユニットから得られるようなガス油である。任意に、石油誘導ガス油は若干の石油誘導ケロシンフラクションを含有してよい。]
[0057] これらのガス油は、硫黄含有量をディーゼル燃料組成物に含有するのに好適な量まで低下させるように、水素化脱硫(HDS)ユニットで処理してよい。]
[0058] 本発明の組成物に使用されるベース燃料は、それ自体フィッシャー・トロプシュ誘導成分、特にフィッシャー・トロプシュ誘導ガス油であっても、或いはこれを含有してもよい。このような燃料は公知で、自動車用ディーゼル燃料組成物及びその他の中間蒸留物燃料組成物に使用されている。これらの燃料は、フィッシャー・トロプシュ縮合反応の合成生成物であるか、或いは該合成生成物から製造される。燃料組成物は、好適には中間蒸留物ベース燃料を主要割合含有する。“主要割合”とは、通常、80重量%以上、更に好適には90又は95重量%以上、最も好ましくは98、99又は99.5重量%以上を意味する。]
[0059] 中間蒸留物ベース燃料は、非フィッシャー・トロプシュ誘導、例えば石油誘導ベース燃料であってもよい。
本発明の中間蒸留物ベース燃料は、通常、2種以上の前述のような種類の中間蒸留物燃料成分、特にディーゼル燃料成分の混合物を含有する。]
[0060] 中間蒸留物ベース燃料は、更に植物油又は植物油誘導体(例えば脂肪酸エステル、特に脂肪酸メチルエステル)、或いは酸、ケトン又はエステルのような他の酸素化物のようないわゆる“バイオディーゼル”燃料成分を、高濃度では成分(b)の有効性が減縮されるので、1〜95容量%、好ましくは1〜10容量%、更に好ましくは3〜8容量%、なお更に好ましくは4〜6容量%含有する。このような“バイオディーゼル”燃料の例は、菜種油メチルエステル、大豆油メチルエステル及びその他の脂肪酸メチルエステルである。]
[0061] 成分(b)は、このような燃料成分がエンジン潤滑油に移行される量を釣合わせるために添加するので、成分(b)の濃度は、燃料ブレンド中のバイオディーゼルの量に依存する。他の要因は、一般にこのような燃料ブレンド中の重質成分の量を制限する可能性がある所要の沸点範囲曲線である。基油成分(b)の濃度は、エンジン潤滑油の100℃での動粘度の好ましくは15%低下、更に好ましくは10%低下、最も好ましくは5%低下を克服するように選択される。これにより、潤滑油の特性を大きく変化させることなく、バイオディーゼル成分の吸収を特定の量に均衡させ、こうして潤滑油を交換する必要が生じるまで、間隔を延ばすことができる。]
[0062] 本発明燃料組成物中の成分(b)の濃度は、0.05重量%以上、例えば0.1、0.2、0.5、1又は1.5重量%以上であってよい。この濃度は、10重量%以下、例えば8、6又は5重量%以下であってよい。場合によっては、1重量%以下又は0.5重量%以下であってよい。例えば0.1〜4重量%、0.5〜3重量%、又は1〜2.5重量%、例えば約2重量%であってよい。幾つかの燃料組成物では、この濃度は、0.1〜1重量%、又は0.1〜0.5重量%であってよい。この濃度は、燃料組成物全体に対し、例えば0.1〜10重量%、0.5〜5重量%、又は1〜3重量%であってよい。全ての濃度は、特に言及しない限り、燃料組成物全体の百分率として引用する。]
[0063] 成分(b)の濃度は、一般に燃料組成物全体の密度、粘度、セタン価、発熱量、及び/又はその他の関連特性が所望範囲内、例えば商用又は規定の規格範囲内にあることを保証するように選択される。]
[0064] 本発明の燃料組成物は、全体として低硫黄又は超低硫黄燃料組成物、或いは硫黄を含有しない燃料組成物、例えば硫黄含有量が500ppmw以下、好ましくは350ppmw以下、最も好ましくは100又は50ppmw以下、更には10ppmw以下の燃料組成物であることが好ましい。]
[0065] 特に燃料組成物が自動車用ディーゼル燃料組成物である場合、この燃料組成物は適用可能な標準規格、例えばEN 590(ヨーロッパ用)又はASTMD−975(米国用)に好適に従う。例えばこの燃料組成物は、密度が15℃で0.82〜0.845g/cm3、最終沸点(ASTM D86)が360℃以下、セタン価(ASTM D613)が51以上、動粘度(ASTM D445)が40℃で2〜2.5mm2/s(2〜4.5cSt)、硫黄含有量(ASTM D2622)が350ppmw以下、及び/又は多環式芳香族含有量(IP 391(様式))が11%m/m未満であってよい。しかし、関連規格は、国により、また年度により異なってもよく、また燃料組成物の意図する用途に依存してもよい。]
[0066] 本発明の燃料組成物は、特に自動車用ディーゼル燃料組成物の場合、中間蒸留物ベース燃料及びフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性重質基油の他に、他の成分を含有してよい。このような成分は、通常、燃料添加剤中に存在する。例えば洗浄剤、潤滑性強化剤、霞み(曇り)防止剤、消泡剤、点火向上剤(US−A−4208190第2欄27行〜第3欄21行に開示されるようなセタン向上剤)、防錆剤、腐食防止剤、付香剤、摩耗防止剤、酸化防止剤、金属奪活剤、静電散逸剤(static dissipator additive)、助燃剤及びそれらの混合物である。]
[0067] 洗浄剤含有ディーゼル燃料添加剤は公知で市販されている。このような添加剤は、ディーゼル燃料組成物に、エンジン付着物の堆積を減少する、除去する、及び/又は遅くすることを意図した量で添加してよい。この目的で燃料添加剤に使用するのに好適な洗浄剤の例としては、例えばGB−A−960493、EP−A−0147240、EP−A−0482253、EP−A−0613938、EP−A−0557516及びWO−A−98/42808に記載されるものが含まれる。]
[0068] 中間蒸留物燃料組成物、特にディーゼル燃料組成物は、硫黄含有量が少ない場合(例えば500ppmw以下)、潤滑性強化剤を含有することが好ましい。潤滑性強化剤は、1000ppmw未満、好ましくは50〜1000又は100〜1000ppmw、更に好ましくは50〜500ppmwの濃度で使用するのが都合良い。好適な市販の潤滑性強化剤は、エステル−又は酸−系添加剤を含む。その他の潤滑性強化剤は、特に低硫黄含有量ディーゼル燃料に使用することと併せて、例えば下記文献に記載されている。]
[0069] ・DanpingWei及びH.A.Spikesによる論文、“The Lubricity of Diesel Fuels”Wear,III(1986)217−235
・WO−A−95/33805:低硫黄燃料の潤滑性を強化するための常温(cold)流れ改良剤
・WO−A−94/17160:ディーゼルエンジン噴射システムの摩擦低下用燃料添加物として、カルボン酸とアルコールとの特定のエステル]
[0070] ・US−A−5490864:低硫黄ディーゼル燃料用耐摩耗潤滑性添加物として特定のジチオ燐酸ジエステル−ジアルコール
・WO−A−98/01516:特に低硫黄ディーゼル燃料に耐摩耗潤滑性効果を与えるための、芳香族核に結合した少なくとも1つのカルボキシル基を有する特定のアルキル芳香族化合物]
[0071] 燃料組成物にとって、消泡剤を含むこと、更に好ましくは錆防止剤及び/又は腐蝕防止剤及び/又は潤滑性強化剤と組合わせて消泡剤を含むことが好ましいかも知れない。]
[0072] 特記しない限り、燃料組成物中の各添加成分の濃度は、好ましくは10000ppmw以下、更に好ましくは0.1〜1000ppmwの範囲、有利には0.1〜300ppmwの範囲、例えば0.1〜150ppmwの範囲である。(特記しない限り、本明細書に引用した添加剤の濃度は全て、活性分の質量濃度である。)]
[0073] 燃料組成物中の合計添加剤含有量は、好適には50〜10000ppmw、好ましくは5000ppmw未満であってよい。
添加剤は燃料組成物の製造中、種々の段階で添加してよい。例えば製油所で添加される添加剤は、帯電防止剤、パイプラインドラッグレデューサー(drug reducer)、流れ改良剤(例えばエチレン/酢酸ビニル共重合体又はアクリレート/無水マレイン酸共重合体)、潤滑性強化剤、酸化防止剤及び蝋沈降防止剤から選択してよい。本発明を実施する際、ベース燃料は既にこのような製油所添加剤を含有してよい。その他の添加剤を製油所の下流に添加してよい。]
[0074] 本発明の燃料組成物が1種以上の常温流れ添加剤、例えば流れ改良剤及び/又は蝋沈降防止剤を含む場合、フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性重質基油が存在することから、このような添加剤は低濃度で存在できる。]
[0075] 本発明によれば、中間蒸留物燃料組成物を使用するエンジン中のエンジン潤滑油の粘度を増大する目的で、中間蒸留物燃料組成物にフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分を使用する方法も提供される。]
[0076] 本発明によれば、中間蒸留物燃料組成物に含まれるバイオディーゼル成分により粘度の低下した中間蒸留物燃料組成物を使用するエンジン中のエンジン潤滑油の粘度を増大する目的で、該中間蒸留物燃料組成物にフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分を使用する方法が更に提供される。]
[0077] 本発明の別の局面では、フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分は、燃料組成物のセタン価、発熱量又は粘度を増大するか、又は燃料組成物の潤滑性を改良するか、或いは燃料消費システム、特に自動車ディーゼルエンジンで使用中に生じる放出物の性質又は量を変化させる、追加の目的で使用してよい。この基油成分は、燃料組成物で操作するエンジンにおいて、加速性及び/又はエンジン性能の他の尺度を改良する目的で使用してよい。]
[0078] 前述のように、ディーゼルエンジンにおいて燃焼中、燃料の一部はエンジン潤滑油に入ることができる。これは、特にディーゼル粒状物フィルターの再生中に起こる可能性がある。このような“燃料希釈”といえる効果は、エンジン潤滑油の粘度低下を起こす可能性があり、エンジン摩耗の増大を招くかも知れない。以下の実施例は、燃料組成物、即ち、ディーゼル燃料+高粘度成分がどのようにしてこの効果に影響を与え、低下させるかを示す。]
[0079] 2種の異なる燃料配合物;
燃料A:菜種油メチルエステル(ADM、ハンブルク、ドイツから)を主成分とする脂肪酸メチルエステルを5容量%含有する鉱物基油、及び
燃料B:フィッシャー・トロプシュ誘導エキストラ重質基油(Shell Bintulu)、
を試験した。
燃料Aの特性を表1に示す。]
[0080] 燃料Bの特定の特性値を表2に示す。]
[0081] 燃料B中のエキストラ重質基油の特性を表3に示す。]
[0082] ]
[0083] 試験条件
燃料組成物絵を表4に示す条件下でOM646メルセデスベンツ・コモンレールエンジン中で試験した。]
[0084] ]
[0085] 試験時間を短縮するため、潤滑エンジン油への燃料希釈率が、例えば煤フィルター再生方式で、高くなるように操作条件を選択した。煤フィルター再生用の操作条件(高排ガス温度)にシミュレートするため、エンジンを低エンジン速度及び低エンジン負荷で活性後噴射(active post injection)により定常状態条件下で連続的に操作した。]
[0086] この目的で主噴射及び後噴射の噴射時期を正常操作に比べて遅らせた。主噴射と後噴射との燃料噴射量の比は2:3であった。エンジン潤滑油粘度の分析のため、2時間毎に油サンプルを取り出した。精度の理由から、油サンプルを取り出す際はエンジンはアイドリング状態にした。エンジンの操作条件は常に監視した。]
[0087] 10時間後、エンジン潤滑油は初期SAE粘度範囲(5W30)下になったので、エンジン試験を停止した。エンジン潤滑油中の燃料の画分(fraction)は、10時間後、10%m/mを超えていた。この試験は、このような操作条件下での燃料添加剤のエンジン潤滑油粘度に対する影響を示すため、前述のような3種の異なる燃料組成物について行った。]
[0088] エンジン潤滑油の粘度は、DIN EN 3104により100℃で測定した。分析の結果を表5に示す(DIN EN 3104により4つの有意数字(digits)を示す)。]
[0089] ]
[0090] 上記結果から理解できるように、燃料Bを用いた場合、エンジン潤滑油の粘度は、燃料Aを用いた場合に比べて燃料希釈の薄め効果から影響が少ない。10時間試験後の最終粘度(即ち、9.436mm2は、燃料Aを用いた場合(即ち、9.252mm2、即ち、基油の場合よりも2%高い。]
[0091] 試験条件下で燃料Aを用いた場合、エンジン潤滑油粘度は燃料希釈により影響を受けるので、その最終粘度値は、9.3mm2未満となる。この値はSAE30(もともとこの油が属していた等級)とSAE20間で定義された限界である。SAE等級が低いので、この油は変化させることが推奨される。したがって、前記燃料成分を使用すると、油排出間隔(ODI)が長くなる。前記燃料成分を使用すると、該燃料により生じる希釈が補償され、ODIが長くなるうえ、一層良好な保護が得られる。]
[0092] ディーゼル燃料中にPAME(脂肪酸メチルエステル)(バイオディーゼルとしても知られる)が存在すると、PAMEはエンジン潤滑油中で富化されるので、油希釈効果をなお一層悪くしやすい。したがって、現時点では、PAMEはヨーロッパ市場に対して強制的であるという事実に照らして、前記成分の存在は重要性を増している。PAMEを強制的に含有させることは、数年後(coming years)には増大するものと予想される。]
実施例

[0093] これら成分を使用すると、エンジン潤滑油に対する明確な効果を与える一方、燃料組成物の一部であることに注目すべきである。油希釈効果が増大すれば、即ち、駆動条件又はエンジンの設計により増大すれば、前記燃料成分の多くがエンジン潤滑油にも入る。その結果、これら成分の規制上の(regulatory)有利な効果は増大するであろう。]
[0094] EP−A−1366134
US−A−7053254
EP−A−0583836
US−A−4208190
GB−A−960493
EP−A−0147240
EP−A−0482253
EP−A−0613938
EP−A−0557516
WO−A−98/42808
WO−A−95/33805
WO−A−94/17160
US−A−5490864
WO−A−98/01516]
先行技術

[0095] 第5回Synfuels Worldwide Symposium,Washington DC、1985年11月での論文:van der Burgt等,“The Shell Middle Distillate Synthesis Process(シェル中間蒸留物合成法)”
DanpingWei及びH.A.Spikesによる論文、“The Lubricity of Diesel Fuels”Wear,III(1986)217−235]
权利要求:

請求項1
(a)バイオディーゼル燃料成分を少なくとも部分的に含有する中間蒸留物ベース燃料、及び(b)100℃での粘度が8mm2/s以上であるフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分を含有する中間蒸留物燃料組成物。
請求項2
前記フィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分(b)が重質残留基油である請求項1に記載の燃料組成物。
請求項3
前記中間蒸留物ベース燃料(a)がディーゼルベース燃料である請求項1又は2に記載の燃料組成物。
請求項4
前記ベース燃料(a)がフィッシャー・トロプシュ誘導ベース燃料を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料組成物。
請求項5
前記パラフィン性基油成分(b)におけるε−メチレン炭素原子(%)対イソプロピル炭素原子(%)の比が8.2以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料組成物。
請求項6
前記基油成分(b)の流動点が−30℃以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料組成物。
請求項7
前記基油成分(b)が、該燃料組成物を使用するエンジンに存在するエンジン潤滑油の100℃での動粘度における15%の減少を克服するように選択される請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料組成物。
請求項8
前記基油成分(b)の濃度が0.1〜10重量%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料組成物。
請求項9
中間蒸留物燃料組成物を使用するエンジン中のエンジン潤滑油の粘度を増大する目的で、中間蒸留物燃料組成物にフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分を使用する方法。
請求項10
中間蒸留物燃料組成物に含まれるバイオディーゼル成分により粘度の低下した中間蒸留物燃料組成物を使用するエンジン中のエンジン潤滑油の粘度を増大する目的で、該中間蒸留物燃料組成物にフィッシャー・トロプシュ誘導パラフィン性基油成分を使用する方法。
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